HUKUROU書斎 Piaoriyongの日常

池袋で牧師をやっています。クリスチャンとして、牧師として日常を綴る

教理史8 東方教会と西方教会

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東方教会 西方教会

教理に関しても東方教会西方教会は次第に独自の歩みを始め、両教会間の「分裂」という歴史的事態が教理史にさらに影を落とすことになる。

 

「分裂」に関連した多数の教理の中でも教会の政治形態と「フィリオクエ論争」の重要性が特筆される。

1.連立政治( federalism )と教皇政治( papalism )

東方における教会政治の基本は司教中心主義と諸教会間の問題を司教会議により解決する連立政治である。その結果、カルケドン信条(451年)を堅持し、最初の七世界教会会議の決定を基本的教理内容とする正教会(今日では、コンスタンティノポリス総司教区、アレクサンドリア総司教区、ギリシャ正教会ロシア正教会など十六教会)の伝統とネストリウス主義(シリア教会)や単性論(コプト教会エチオピア教会、アルメニア教会)などの諸伝統とに二分されることになる。西方教会ではローマ教会司教(教皇)が使徒ペテロの後継者(使徒的継承)を自称して単一支配をもって、一つの教理伝統の樹立を目指すことになる。また、東方正教会の伝統が七つの世界教会会議をもって教理の発展の完了とみなすことに対して、西方教会はそれらに加えて西方で開催される公会議によっても正統的教理の伝統が積み重ねられるとする。

 

東方教会はそれぞれが中心で、司教が単独に決めるのではなく、司教たちの会議によって、教会の問題を解決していく。このような形で統一を保っていく。連邦主義である。

西方教会は、伝統を継続した伝統があるから、専制政治であり、一人が最終に教会を統治していく。カトリック教会は中央集権化を強化していく。ローマカトリックが聖ペテロの継承であると主張している。

 

2.フィリオクエ論争

ニカイア・コンスタンティノポリス信条の聖霊条項における原文「み父から発生」(単数発生論)を西方教会では(み父)と「み子から」( filioque )を加える複数発生論が台頭し、十一世紀には教皇により正式に受理されたため、東方教会が抗議して論争となる。この論争の背後にある諸要因の分析は教理形成の事例として注目される。

 

三位一体の教理の理解の仕方:

内在的に捕らえるか(immanent)、経綸的(economical)に捕らえるか。この二つの中で、フィリオクエの論争の原因がある。

内在的(immanent)は、父だけみる。

経綸的(economical)は三者の役割からみる。ヨハネ福音書からみると、聖霊は御子から派遣しても問題ないのではないか。