HUKUROU書斎 Piaoriyongの日常

池袋で牧師をやっています。クリスチャンとして、牧師として日常を綴る

「聖霊の中で働く」読書感想

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 Volfという神学者が書いた「聖霊の中で働く」という本を読んだ。以前にもクリスチャンとして働く意味に関するいくつかの本を読んだ。この本を通して新たに学んだのは、「終末論」の観点からみた働く意味である。作者はまず、マルクスとアダムスミスの観点から働く意味を説く。アダムスミスによる働くとは、人の欲と関連し、その欲を満たすために人は働くが、その間に人間性を犠牲にしてしまう問題があるという。マルクスは資本主義による人間性への蹂躙を問題視しつつも、人は自分の存在意義を知るためにも働く必要があると言っている。

 終末論による働きの意味は、世界の現状維持ではなく、神と共に働き、この世を刷新するという。聖霊はクリスチャンの働きの中でとても重要な意味があり、一つの仕事だけに集中することが美徳ではなく、賜物にふさわしい仕事をすることが望ましいと。

 作者はまた、働く意味は自分の欲求を満たすため、生きるためだけではなく、他人の、公衆の利益を追求するにあると強調している。今、歪んだ働く意味を正し、仕事での楽しさと喜びの回復はまず神との関係を回復にあると説いている。こういう意味で、クリスチャンの働きの喜びは自分の給料と家族を養うためよりも、仕事を通してほかの人が助けられ、益を得ていることへの認識であると言えるだろう。